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Channel: スポーツナビ+ タグ:川淵三郎
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【Jリーグ成人遊戯】地上波ゴールデンタイムから消えた20年目のJリーグ!それでも日本サッカー界に「巨人軍」は必要ないのか?

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エンターテインメント・ショーに重要なのは分かりやすさだ。 21日から公開の始まった映画「レ・ミゼラブル」。全世界43カ国で上演された大ヒットミュージカルを「英国王のスピーチ」のトム・フーパー監督が映画化。滅茶苦茶、ベタやん。なんでいきなり登場人物が歌い出すねん。なんて観る前は心の中でディスりまくっていたのだが、 158分後にはすっかりコゼット役のアマンダ・セイフライドのファンになっているこの敗北感。普段はミュージカルなんか1秒も縁のないスポーツクレイジーでも理解できる丁寧な作り。それぞれのキャラの背景を台詞よりも映像表現でサクッと見せ、勝負所で熱唱する。シンプルで直球勝負の構成が私のようなミュージカルトーシロ野郎の胸を打つ。以前「プロ野球死亡遊戯」では、選挙もプロ野球も根底にあるのは「分かりにくさ」だと書いた。「今の政治家を知らないから投票にもいかない」「最近の選手を知らないからナイターも見ない」そんなライト・ユーザー・ピープルにプレゼンすることから始めようぜというわけだ。先週、コリンチャンスの優勝で幕を閉じたクラブワールドカップサッカー。 Jリーグからはサンフレッチェ広島が開催国枠で出場。日テレで中継された広島vsオークランドシティ戦の視聴率は11.2%だった。スゲェな。正直、私は驚いた。本田も香川も長友もいない、っていうか世間的にはほぼ全員無名のJのチームで二桁突破。ちなみに巨人がセ・リーグ優勝を決めた9月21日のヤクルト戦の視聴率も11.2%である。まさにプロ野球死亡遊戯。ゴメン、今回はそういうロジックじゃないだろう。クラブワールドカップというのはJリーグのチームにとって最大の晴れ舞台だ。世界の強豪チームと戦えるから・・・というより、 Jリーグの試合が地上波ゴールデンタイムで中継されるのは1年でこの日だけという刹那。悲しいけどコレ、Jリーグのリアルなのよね。 2年前のアフリカW杯、日本代表戦に盛り上がるあらゆる人々に、私はこう聞いたことがある。「これだけ代表戦が好きなのに、なんでJリーグは見ないの?」答えは決まってこうさ。「だってJリーグってテレビでやってないじゃん」オッケー、ファイナルアンサーだ。多くの人々にとって、いまだにテレビ=地上波という認識。地デジ化で多少は変わりつつあるが、そのアングルは堅い。サッカー・ライト・ユーザー・ピープルにとって、スカパーのサッカーセット加入の敷居はベルリンの壁以上に高いということだ。 Jリーグ20周年。 93年5月15日に開幕したJリーグは2012年シーズンで20周年を迎えた。 Jリーグブームの夢見る頃を過ぎ、黄金世代の反抗期も経験し、無事成人式。ハタチになれば、子供の頃の夢と折り合いをつけ、嫌でもシビアな現実と対峙しなければならない。理想や理念の前に、迫り来るリアル。オカンの小言も「あんた宿題やったの?」から、「就職どうすんの?」にバージョンアップ。つまるとこ、この先どう稼いで生きてくのというわけだ。 Jリーグと金。ヤバい、ここにぶっこむとヤバい。本能では分かっていても聞かずにいられないお姉ちゃんの過去。ディテールは省くが、私はJ20年の内のいくらかに微力ながら仕事として関わっている。正直、お姉ちゃんのムダ毛処理のような見たくないシーンにもちょくちょく遭遇した。なんでそんなやり方するの?それを突き詰めると、結局は「金がない」という一点につきる。あたし永久脱毛するお金がないのよ。そんな時、20周年を迎えたばかりのハタチそこそこの若い男は無力だ。次から次へと有望な若手選手が出現しても、わずかな手切れ金じゃなくて移籍金しか入らない。百戦錬磨のヨーロッパのクラブからしたら、日本のクラブから選手を安く買い叩くくらい容易いだろう。日本代表に定着し始めてスターが現れたと思ったら、即海外挑戦。この選手メインに来季は派手に販促かましましょう。いや、冬の移籍市場でヨーロッパに行くから無理だね。何も言えなくて冬。今年12月初旬、今のJリーグを象徴するようなニュースがスポーツ報知で報じられた。横浜F・マリノスの元日本代表DF中澤佑二(34)が契約更改交渉に臨み、今季のリーグ戦4位で得た賞金6000万円の半分を選手、スタッフに分配するよう要求。中澤は「経営が苦しいのは分かるが、基本給を上げてほしいと言っているのではない」と訴えた。選手、スタッフ約45人で3000万円を分けると、ひとりあたり約67万円のボーナスとなる。日本サッカー史上空中戦最強DF、天下の中澤にこんな交渉させたらアカン。マリノスと言えば世界の日産がスポンサーなわけだが、それでもこのギリギリ感。今年8月に開示された11年度のJリーグ全38クラブの経営情報。横浜F・マリノスは6番目に多い34億6300万円の営業収入があったものの、運営経費がかさんでリーグ最多5億8500万円の赤字だった。 13年から導入されるクラブライセンス制度では、3期連続赤字ならリーグ参加が認められなくなる。熱いぜ!横浜。サイフは寒いけど。ゴメン、そんなしょうもないジョークをかましている場合じゃない。いかにサッカーは代表戦しか見ないというライト・ユーザー・ピープルにJリーグを届けるか。地域密着の理念。Jリーグ100年構想。それはもちろん素晴らしい。だが、理想だけじゃ飯は食えない。仕組まれたアングル。 20年前、マスコミを賑わせた「ナベツネvs川淵チェアマン」論争再び。あれはヴェルディが川崎でも東京でもなかった頃の話だ。「読売ヴェルディ」を渡邊恒雄総指揮の読売グループと日本テレビがパワープッシュして、サッカー界の巨人軍を作り上げようと躍起になっていた時期があった。親会社の利益に繋がる企業スポーツとしてのサッカークラブ。つまり、三浦知良を長嶋茂雄にしようとしていたのだ。ちょっと待ったとノーを突き付けたのが、当時Jリーグチェアマンの川淵三郎。「Jリーグに巨人はいらない」これマジ。結果的にこの戦いはナベツネの敗北バックレ、読売新聞撤退、ヴェルディ東京移転で今に至る。私は当時の川淵チェアマンの対応は正しかったと思っている。仮に読売ヴェルディが独自の路線でビッグクラブとして確立していたら、その後のJリーグはいびつな形に発展していただろう。だが、この20年でJリーグのベースは形成された。これからはその土台の上に頑丈なビルを建てていく。今なら、Jリーグは「ビッグクラブの重さ」にも耐えうる耐性が付いているはずだ。多くのファンを持ち、多くのファンに嫌われる存在。金で選手を掻き集め、日本代表クラスがゴロゴロいる。ライト・ユーザー・ピープルにも分かりやすい鉄板ギミック。求められるのは、世間がJリーグを見るきっかけになるビッグクラブ。もはや日本代表チームが昔の巨人だなんてロジックをかましている余裕はないだろう。キング・カズはサッカー界のレジェンドブランドだ。三浦知良は長嶋茂雄になった。だが、ヴェルディは巨人にならなかった。今のJリーグは横一線。どこにでも優勝のチャンスがあるが、皮肉にもそのフラットさが分かりにくさを生んでいる。 20年でそれなりのファンは確保した。次はアンチ層の開拓だ。 Jリーグを見ろ。そして、嫌ってくれ。アンチ巨人がいる限り、プロ野球は永久に不滅だろう。アントニオ猪木風に言うと、Jリーグをどうやって環状線の外側に出すか?成人式も終え、迎える21年目の分岐点である。 See you football freak・・・

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